頭の中が忙しい

自閉症スペクトラムと付き合いながら今日も育児をがんばる日記

疲れがよくわからない発達障害と専業主婦の相性

私は障害特性上、感覚が極端に敏感な部分と鈍感な部分があります。

例えば聴覚はとても敏感で、カフェでお茶をしていても両隣のテーブルの人たちの会話が一斉に聞こえてきて、2組の会話の内容まで全て把握してしまうことがあります。

しかし、気温にはとても鈍感で、一人だけ浮いてしまうほど薄着で出かけて人から「寒くないの?」と声をかけられようやく寒さに気づくこともあります。

そして、一番厄介なのは疲労に鈍感なことです。自分の調子が良いのか悪いのかを直感的に把握できません。倒れる寸前の状態なのか、疲れてはいるけれどまだ頑張れる範囲なのかを見誤ることが多く、それで新卒で入った会社でも失敗をしてしまいました。

うつになってから、私はしばらく休職はせず遅刻や欠勤をしながらもごまかしごまかし仕事を続けていました。しかし、朝気持ちが悪いのに大丈夫だろうと中途半端に出社してミスを連発して早退させられたり、少し休めば大丈夫と判断して遅刻の連絡を入れて結局出社できなかったりと、会社の人には多大な迷惑をかけました。

その後、休職して治療を行う中で自分が疲労や不調に鈍感なことに初めて気が付き、「行動記録表」と言うセルフチェックシートを自作し毎日体調チェックをするようにしました。

例えば、前日夜に抜毛をしたら5点、目が覚めてから布団を出るまで30分かかったら3点、ポテチを袋食いしたら2点、という風に自分なりに不調の時起こりやすい行動に点数をつけて並べていきます。

そして、その日の行動の合計点数を出して、20点未満なら良好、30点を超えたら危険ゾーン、と点数ごとに体調のレベル分けします。

さらに、良好な日は帰り道に遊びに行っても良い、普通の日は直帰、危険ゾーンの日は整体に行く、と取るべき行動も分けました。


このおかげで体調の乱高下を抑えることができるようになっていきました。そして、「これは体調不良?それとも怠けているだけ?」と葛藤することも少なくなりました。


しかし今、行動記録表はつけなくなりました。残念ながら、完全にうつが治ったからではありません。

専業主婦として育児に専念している今の私には、この記録表をつける意味がなくなっているからです。

まず、生活リズムの面では、寝る時間も出かける時間も子供のペース次第なので私のコンディションとリンクしません。

そして、行動記録表作ったころは「不調の波が来ても、なんとか定時に仕事に行き最低限仕事をこなすこと」を目標としていました。

仮に不調でもとりあえず会社に行って仕事ができれば、あとは整体に行くなり早く寝るなりでリカバリーすればよし!という考えに基づいて作られています。

しかし、専業主婦の仕事は明確な終わりや区切りがありません。どこまできちんとやるかなんて完全にさじ加減です。「この仕事さえ終わらせたらあとは帰って死んだように寝てよし!」と言うのではなく、「そこそこをずっとキープする」と言うことが求められます。

外で働くようなプレッシャーがないという点では楽ですが、絶対「死んだような状態」になることは許されません。


この「そこそこをキープし続ける」って実はとても難しいことだと思います。自分のコンディションを正しくウォッチしつつ、こまめにガス抜きができないといけません。これがナチュラルにできる人は本当の意味で自律的な人なんだと思います。


俗説ですが発達障害の人たちは、もともと狩猟採集民族だったという説があるそうです。狩猟のときだけ本気を出してあとはしばらくのんびり、という不規則な生活リズムが刻まれているのに対して、定型発達の人たちは農耕民族で規則正しい生活リズムが備わっていると言うのです。

さすがにそんなに大雑把な分け方ができるほど単純ではないと思うのですが、私は実際規則正しい生活リズムを維持し、自分のコンディションを一定に保つことが人より難しく感じています。

発達障害の人には結構こういう人が多いのではないでしょうか?

障害があるから、無理せず結婚して家に入ったら?なんて言われることもありますが、こういう特性があるからこそ専業主婦は向いていない気がしています。

外で働く場がある方が向いているし健康面でも良いと思うんです。(もちろん障害特性を自己理解して周りに迷惑をかけない働き方を見つける努力ができてこそですが。)

同じように障害を持つ方はどう思うでしょうか?