頭の中が忙しい

自閉症スペクトラムと付き合いながら今日も育児をがんばる日記

子供への愛をポエムにしたり空の写真を他人に送りつける人の心情

SNSだけでうすーく繋がっている、学生時代の友人がいる。

彼女は安めぐみのような外見で、話しているとほわーんと癒し系で、学生時代からよくモテた。

それでいて勉強はよくできて、東大を卒業した。

それでもキャリアを追い求めることなく、あっさり結婚して今は子育て真っ最中みたいだ。

そんな羨ましい限りな人生を送ってきた彼女が、最近ちょこちょこポエムを投稿する。


きょうもムスメを叱りすぎた
いっぱいいっぱいなママでごめんと
ムスメをだきしめて
ママはムスメがだーいすきだよ
っていうと
ムスメもママがだーいすきだよ
と小さな手で私をだきしめてくれた
しあわせをありがとう
だいすきだよ

みたいな奴だ。

子育てでついイライラしてしまうことも、それで自己嫌悪に陥ることもある。子供に励まされることもある。シチュエーション的にはわかるのに、このポエムにはなぜだか共感するどころか、モヤっとしてしまった。

なんで平仮名連発?とかわざわざSNSにあげなくても…とか、ツッコミ所は色々ある。

でも私がモヤっとしたのはそこではない。

すごく賢くて仕事もできたはずの彼女が、こんなありふれた「いいママらしいポエム」を書いたことにがっかりしたのだ。

彼女は彼女なりに今幸せなんだろうけど、積み上げてきたキャリアを活かしきれていないもどかしさもあるんだと思う。

東大時代に出会ったスーパーエリートたちのうちの誰かと結婚していたら…と違う人生を空想することもあるんだと思う。

それでも、育児に追われてボロボロになりながら、ときには色んなものを諦めながら、繰り返される日常に折り合いをつけるには「大事なのは、キャリアでもお金でもない、愛だよね」「私は愛選んだの!幸せなの!」と主張するのが手っ取り早い手段だったんじゃないかと思う。

確かに自分の子供はかけがえのない存在だ。
何より大切にしたくなる気持ちもわかる。子供のために頑張る姿も美しい。


だけど、子育て期間って幸せな時期であると同時に、しんどい時期でもある。幸せを感じることもたくさんあるけれど、こんなはずじゃなかった!なんて思うこともたくさんある。

「子供を愛しているから私は幸せなの!」と宣言して、思考停止してしまうのは楽だ。

だけど、諦めなくてはいけなくて悲しかったこととか、本当はやりたいのにできないこととか、たくさんあったはずだ。そんな自分の気持ちを無視してしまうと、ゆくゆくは自分で自分を苦しめるだけだ。

そんなモヤモヤをママ友に話したら、案外わかるー!と共感された。

SNSにポエムと並んでありがちなのが写真の送りつけらしい。

ある人は、急にLINEで空の写真とか子供と自分の影の写真とか送ってくる友人がいる!と言っていて、その場合どう返しているのか聞いてみた。

すると、最初は意味がわからなくて、クイズかな?と思い選択肢が送られてくるのを待っているうちに既読スルーになってました★という強者すぎる回答が返ってきた。

結局、育児ポエムをSNSにあげたり、抽象的な写真を送ってくる人って疲れているんだね、という話になった。

ボロボロなときに「子供を愛しているから幸せ!」の一点張りで突破しようとするよりは、正直に「辛い」と対面で言える方が私はいいなと思う。