頭の中が忙しい

自閉症スペクトラムと付き合いながら今日も育児をがんばる日記

忘れる方に悪気はなくても忘れられた方は傷ついている

育児のやり方について、夫に事細かに教えても、すぐに忘れられてしまう、ということが度々あってイライラしてしまいます。

例えば、電子レンジで離乳食用のふかし芋をおいしく作る方法を見つけたとき、私は夫にもできるようになってもらおうと思いました。

それで夫の休日に、一緒に電子レンジの前に立ち、芋を濡らしてラップして、ダイアルを9番に合わせて、スタートボタンを押す、と指差し確認をしながら丁寧に説明しました。

それから10日ほど経ったある日、夫にお芋ふかして〜とお願いすると、夫はガサゴソと鍋を取り出そうとします。

鍋じゃなくてレンジでやって〜

とお願いすると、夫は「?」という表情。

この間教えたやり方忘れちゃった?

と聞くと、そもそも教えたことすら覚えていませんでした。

さすがにびっくりして、あれ?教えたの覚えてない?と聞くと、曖昧に笑ってごまかすのみ。

芋くらいでカリカリするのも馬鹿らしいと思いもう一度説明しましたが、なんだかどっと疲れました。

百歩譲って忘れてしまうのは仕方ないにしてもせめて謝れよ、とか、忘れるならメモくらいしてよ、とか後から後からイライラが湧いてきました。

しかし私自身、新卒で入った会社では夫と同じようなことをよくやっていました。
その会社はお堅い業界であったため、書類の形式や書き方など本当に細かくルールが決まっていました。

わたしは発達障害の特性のせいか、一度自分の中で意味ないと判断したことについては、脳が拒否するかのように興味がなくなってしまいます。

私の中では、その会社の独自ルールはほとんど意味ないゾーンに入っていて、先輩が懇切丁寧に説明してくれるほど、猛烈な眠気に襲われ全く頭に入りませんでした。

ずいぶん悩んでカフェインを大量摂取したり、立って話を聞いたり工夫もしましたがだめなものはだめでした。


それで、いざ自分で書類を作ってみてと言われると、必ず簡単なミスをするので、何度も注意され、しまいに呼び出しをくらい、人格を否定するような怒り方までされました。

反省する一方で、このくらいのうっかりミスくらいで大袈裟な…と言う気持もありました。

しかし、夫に育児のやり方を教えては忘れられることを繰り返すうち、それがどれだけ相手に失礼だったか痛感させられました。

自分でやれば簡単に終わる仕事を、人にわざわざ説明するのには根気が要ります。それでも相手にミスなく1人でできるようになってほしい一心で、丁寧にわかりやすく教えているのです。

きちんと教えたから、次からは自分の代わりにやってくれるはず、と期待したのに相手が全くできないと、徒労感を覚えて精神的に大きなダメージをくらいます。

更に相手が悪びれもせず、改善する行動も取らないと、馬鹿にされていると感じ怒りが湧いてくるのです。

忘れた方からしたら、こんな些細な仕事くらいミスったからなんだ、という気持ちですが、教えた方にとっては些細な仕事だからこそ一発でできるようになってよ!と言う気持ちなので、溝は深まるばかりです。

私は仕事復帰したとしても、障害特性は変わっていないので、きっと興味のあるなしで仕事の飲み込みにムラは出てしまうでしょう。

ではどうしたらいいのかと考えていて、「教わったら即相手の言った通りにやってみる」ことが大切かな、と思いました。

例えばふかし芋の例だったら、教わったらすぐに一度作ってみる。
書類作成なら、一度白紙をプリントアウトして自分で記入してみる。

手を動かすことで記憶にも定着しやすいでしょうし、何より相手にやる気を示せます。

以前勤めていた会社に、体育界系の後輩が入ってきたことがありました。彼は持ち前の元気の良さで営業はこなすものの、電話応対の際に敬語がなってないとよく指摘されていました。


いくら言われたところで言葉遣いなんて習慣なので急には治りません。しかし彼はコピー用紙に指摘されたNGワードをデカデカと書いてデスクにベタベタ貼って電話応対のときは必ず見ながら話していました。

これによって「気をつけている」と言うことはよく伝わっていたので、みんなから温かい目で見られていました。

夫がもし、教えてすぐに蒸かし芋を作っていたら、コピー用紙に芋のイラストでも書いていたら、イライラどころかほっこりしいただろうな…。

結局教わる、と言うのも一つのコミュニケーションです。

納得いかなかったり、興味を持てなかったりすることも多々ありますが、まずは相手の言った通り動いてみることが、イライラさせない秘訣なのかなと思います。