頭の中が忙しい

自閉症スペクトラムと付き合いながら今日も育児をがんばる日記

汚屋敷育ち、義実家で衝撃を受ける

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私の実家は「汚屋敷」だ。
家が商売をやっていて、お客さんがしょっちゅう出入りするから中々落ち着いて家事ができない。
さらに祖母は典型的な「捨てられない女」で、割れたお皿や腐った食べ物を処分しようとすると泣いたり怒ったりするし、頻繁にものを大量に買ってくる。
加えて男たちは、「家事は女の仕事」と思い込んでいて服は脱ぎっぱなしだし食器をさげることも絶対にしない。

そんな状況で母もいつしか諦めモードになったらしく、今は片付けを放棄しつつある。

そんな家庭環境で育った私は「普通の家」の家事が身についていなかった。
最初に一人暮らしをしたアパートでは、ユニットバスの排水溝を詰まらせてえらい目にあったし、ごみや洗い物をためがちでいつもなんとなく臭い部屋だった。

ごみは定期的に捨てなければ溜まる、溜まれば臭う、そんな当たり前のことが本気でわからなかった。
掃除機をかけたり、洗濯物を干したり、といういわゆる「名前のある家事」は毎日やっていたから、「毎日がんばって家事をしても居心地の良い部屋にならない」と悩んでいて「自分が変なやつだからだ」と思い込んでいた。

本やネットで家事のやり方をひとつひとつ学んで、結婚する頃にはずいぶんましになっていった。
しかし「正しいやり方」はわかったけれど、「本当にみんなこんなことしているのかな」というモヤモヤが残った。

転機が訪れたのは今年。

初めて義実家に泊りがけで訪れた。義実家はごくごく普通のサラリーマン家庭で、専業主婦の義母が家事をきっちりやっているからいつもさっぱりと片付いている。だからこの機会に「リアルな家事」を学ぼうと思ったのだが、下手に留学に行くよりよっぽど「カルチャーショック」の連続だった。

まず、洗濯物。朝一番に昨日出た洗濯物とパジャマを洗って干す。その後、掃除や庭の手入れをして汗をかいたら、着替えてまた洗濯。休みの日は、義父も趣味のゴルフにでかけて帰ってきたら、さっさとウェアを自分で洗濯して干す。そして日が落ちるまでには必ず取り込んで、乾いていなければ室内干しにして除湿機を掛ける。乾かないからといつまでも干しっぱなしで、生乾き臭をさせていた実家とは大違いだ。

それから洗い物。食事のあと食器を洗うとすぐに布巾で拭いて食器棚に戻す。水切り籠やシンクの中も拭く。その後、ちょっとのどが渇いてお茶を飲んだらまたすぐに洗って拭いて片付ける。子供がミルクを飲んでいてしょっちゅう哺乳瓶を使うせいもあったが、私と義母で合わせて一日12~3回は食器を洗っていたと思う。

こんな調子で、他にも料理や掃除があるのだから、「一日中」家事は続く

私は「こざっぱりした家」に住む人は何か「裏ワザ」的な家事の仕方を知っていると、頭のどこかで信じていた。だけど実際には、ものすごい労力をかけることによって「普通のきれいな家」が維持されているのを目の当たりにし、衝撃を受けた。

義実家は、かなりきれい好きな方なのだとは思うけれど、特別インテリアに凝っているとか、生活感がないモデルルームのような家というわけでもない。飽くまで「普通にキレイ」の範疇だ。

インスタやブログなんかでは「ていねいな暮らし」「シンプルライフ」が人気だ。そんな言葉がぴったりなスタイリッシュな部屋の写真が大量にあがっている。何気なく「おしゃでだな」「こんな風にしたいな」と眺めていたこの部屋たちを作り上げるのには、影でどれだけの労力が費やされたのか改めて想像してみて正直ぞっとした。

主婦がどれだけ一生懸命家事をやるかは、本人のさじ加減による。それだけにとことんやればキリがないし、他の家庭のリアルな状況は中々知る機会もない。

家事って一見平和な仕事に見えるけど、独特なルールがあったりこだわりが詰まっていたり、実は政治や宗教の話題並みにナイーブな領域なのかも…と思った体験だった。