頭の中が忙しい

自閉症スペクトラムと付き合いながら今日も育児をがんばる日記

「良いお母さん」になればなるほど世界は小さくなる

あけましておめでとうございます。

年が明けてしまいましたが、ここで2018年を振り返って、今思うこと、今年取り組みたいことを整理しておこうと思います。

2018年は夫の転勤に伴う引越しと出産があり、人生の大きな転換点となる年になりました。

それまでの私の人生を少し振り返ってみようと思います。

高校受験、大学受験と自分がギリギリ手の届く偏差値の学校を志望校にし、滑り止めも受けず、自分を追い込んで努力と根性でそれらを突破してきました。
就職活動でも就職したい企業ランキングで上位に来るような企業ばかりを受け続け、ここでも内定を勝ち取りました。
就職した会社は暗黙の了解で、部署ごとに「格付」があって、ここでも格付上位の部署の配属を勝ち取りました。

そうした私の生き方は、「本番」直前に自分をとことん追い込んで、持ち前の過集中を発揮し、火事場の馬鹿力で乗り切ることの繰り返しでした。

「本番」を乗り切ることがすべてだった私はその後に続く新生活には興味もなく、やる気もありませんでした。だからせっかく掴んだ新しい環境に馴染む努力もせず、「本番」を乗り切った瞬間の興奮をいつまでも懐かしんでいました。そしてその興奮をまた味わいたくて、次の課題を探しては自分を追い込んで挑むという繰り返しでした。

こんな風に、私はゲーム感覚で競争に勝つ喜びを原動力に突き進むように生きていました。そして突き進むべき道は「良い学校」「良い会社」というような、世間の「良い」という評価を基準にしていました。

それでも、競争を勝ち抜いた先にはレベルの高い仲間や先生、上司が待っていて楽しかった。そして選択肢やチャンスが広がった。田舎の小さな町の中学校で同級生たちとスクールカーストを争っていた私の世界はどんどん広がっていった。

だからこの価値観で突き進んできたことに後悔はありませんでした。

昨年の初め、夫に転勤を告げられた時、私は迷わず着いて行こうと決めました。夫に着いて行くのが「いい奥さん」だと思っていたからです。

出産間際だったので、会う人会う人に「大変なときについて行って偉いね」と言われやっぱり着いて行く判断をしてよかったんだと思いました。

無事出産を終え、落ち着いた頃、今後の仕事のことも考えようと思いました。行政の窓口に相談に行ったり、ネットで調べたりするうち、子持ちの転勤族の妻がいかに就職に不利なのかを思い知ることになりました。


古い価値観の「良い奥さん」「良いお母さん」を目指せば目指すほど、キャリアからは遠ざかり、家庭に縛られることに気づきました。

これまで通り世間の「良い」という評価に従って進むと、自分の世界はどんどん狭まるという感覚は、出産前に生きてきた価値観とは正反対でした。

更に、「良いお母さん」になろうとすると「本番」に向けて短期集中で突破するという場面はありません。むしろ自分の力を出しすぎないように抑え、果てしなく続く日常生活を何事もなく同じペースで走り続けられるようにコントロールしていかなくてはなりません。そう言う点でもこれまでとは真逆の生き方を求められていました。

このような激しい価値観の変化に心がついて行かず、産後うつになりました。それでも「良いお母さん」を目指さなければいけないと言う自分への呪いはなかなか解けませんでした。

そんな私に夫が根気強く「本当はどうしたい?」と聞いてくれたことで、必ずしも「良いお母さん」を目指さなくてもいいんだ、と気づくことができました。

世間の「良い」とするものをがむしゃらに追い求めても、自分の幸せは手に入らないとわかったことが、2018年最大の収穫になりました。

自分が良いと思う気持ちに素直になって、進路を決めて行くことは勇気がいります。しかし2019年は自分の心の声をきちんと聞くこと、その声に従う勇気を持つことを目標にします。

長くなったので具体的なことはまた別の記事に。

今年もよろしくお願いします!